2025年04月07日
様々な垣根を超えた職人さん同士の連携
ビデオどりしておいたNHKの番組
新プロジェクトX ~挑戦者たち~ 「白鷺城はよみがえった ~世界遺産・姫路城 平成の大修理~」 【放送】2月8日
をようやく再生して見ました。
【リリース】白鷺(しらさぎ)城はよみがえった|新プロジェクトX – 新プロジェクトX〜挑戦者たち〜 – NHK
内容は2009年に「平成の大修理」として屋根と外壁の修理の様子を伝えている番組で、
漆喰と職人さんに関わるものでした。
白鷺城には「灰頭(はいがしら)」という特殊な漆喰塗り手法が施されています。
それは、瓦に流れる雨水を制御する漆喰塗りの秘伝の技です。
屋根をメンテナンスや修理する場合は、当然この特別な技術を習得した職人さんが施工しなければなりません。
白鷺城の大きな屋根漆喰の塗り替え修理は1人ではできません。
工事には多くの職人さんが関わらなくてはなり、そこには様々な垣根を超えた職人さん同士の連携が必要となります。
番組ではその技術の伝承に関わった左官職人さん同士の心の葛藤と共に、見事な職人技を紹介してくれていました。
NHK、HPによると全国から1万4千人の職人たちが集ってこの工事を支えたとのことでした。

※数年前に行った時撮った白鷺城
白鷺城は、屋根や外壁に施された漆喰の白さがひときわ目を引く、美しさが象徴のお城です。
施工当初は真っ白だった漆喰も、時の流れとともに汚れ、黒ずんでいきます。
その美しさを守り続けるためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。
番組を見終えたとき、私は気づきました。
この「定期的なメンテナンス」こそが、伝統技術を次の世代へと伝える、絶好の機会になっているのだと。
今回の修理には、多くの若い左官職人たちが参加しており、中には女性の職人さんもいました。
熟練の職人から直接手ほどきを受けるその姿は、真剣で、そして何より、やりがいに満ちた表情をしていました。
その熱意が、テレビ画面越しにも強く伝わってきたのです。
50代のベテラン職人から、10代・20代の職人のたまごたちへ。
修理やメンテナンスという限られた「時間差」の中で、技術が確かに受け継がれていきます。
かつての職人たちは、日々の仕事の中で自らの技を多く語ることはありませんでした。
「背中を見て覚えろ」それが職人の世界の流儀だったのです。
しかし彼らもまた、自分たちが守ってきたこの建物を、次の世代へと引き継いでいきたいと願っていたはずです。
そのためには、「背中を見せる機会」をどう作るかが重要だった。
若い職人たちにとって、修理やメンテナンスの現場は、まさにその貴重なチャンス。
職人の心と技を伝える、かけがえのない場となっているのだと、改めて感じました。
明治時代以前と比べると、現代は寿命がほぼ倍近く延び、現役でいられる期間もずっと長くなりました。
その分、教え方や働き方も大きく様変わりしています。
けれども、どんなに時代が変わっても
「技を伝える機会」だけは、安易に短縮したり、簡略化してしまってはいけないと感じます。
伝統技術は、何も国宝や文化財のような特別なものにだけ宿っているわけではありません。
実は、私たちのすぐ身近な「住まい」の中にも、受け継ぎたい技術や、守っていきたい価値観がたくさんあります。
そうした日常に根づいた知恵や技に、若い人たちがふれられる機会
見て、感じて、学べる場がもっと開かれていけばいいなと、思います。

職人さんたちの手で傷んだ大天守がよみがえり、内外の多くの観光客も白鷺城の美しさに魅了されいます。
白鷺城の前で職人さんを応援する絵本販売ができたらいいなあ、実現したいなあと思います。
「灰頭(はいがしら)」という特殊な漆喰塗り手法は塀の上の瓦でも見れるかもです。