2025年01月22日
雄勝の天然石屋根材の産地へ その❸
雄勝の帰り道、松島町の瑞巌寺に寄りました。
海からの距離もなく津波の影響はどんなであったかも知りたかったからです。
瑞巌寺で場内の見守りにあたっていたお寺の方に聞くと
津波は松島の島々によって波の勢いが弱まり、参道の途中までで止まってくれたとのことでした。
そのようなことで防潮堤は設けず、依然のままの船着き場や商店街が並んでいました。

参道からその先に見える総門、そこから約100mが松島湾の海です。
本堂中門から振りむいて見ています。
瑞巌寺の中門の右側には庫裡があり、まずその屋根瓦に目が奪われました。


重厚な本瓦葺きの屋根です。
職人さんご家族を応援する絵本「絵ことば」の瓦やさん編を進めていますが
絵本なかでこの本瓦葺きを少し解説してる関係もあってじっと見てしまいました。
重量感があるけどどこか優しさも感じる葺き方です。
庫裡の屋根には立派な煙抜き?の小屋根がちょっとアンバランスにのっています。
中門をくぐると大きくそしてシンプルな本堂が目の前に現れます。
あれ、屋根瓦の色が違って見える?

聞けば、ちょうど震災があったころ本堂の大きな改修工事が行われていたとのことでした。
6万枚の瓦を点検し傷んだ瓦を処分?し、新たに製作したものと合わせて年代別に葺き分けて復旧させたのでこのような色の変化になったようです。
創建時の瓦はどの部分だろうかと楽しくなります。

私の目では右側が一番古い400年前の瓦なのかな、と思いました。
当時、瓦を焼く職人や葺く職人もこちらにはおらず、関西から招いてこの屋根ができたようです。
精度の高い屋根はまず精度の高い瓦を造る必要があります。
かわらを焼く技術は、粘土の選択、採取から始まる自然素材を相手にした技術です。
天日乾燥工程も含むので地域の天候も品質向上には大切な要素です。
仙台地域の気候の中で関西の瓦職人さんたちの「汗と夢」の瑞巌寺の屋根でした。
ここで3日間の屋根をめぐる少旅行は終わりました。
※改修工事中の様子は↓のサイトで見れました。
March 2017:特集「よみがえる国宝 瑞巌寺」| KAJIMAダイジェスト | 鹿島建設株式会社