BLOG

2025年02月18日

被災木造住宅の復旧・耐震化支援シンポジウムに参加して

2月のはじめ、名古屋工業大学で開催された、被災木造住宅の復旧・耐震化支援シンポジウムに参加しました。

基調講演は名古屋工業大学大学院教授の北川啓介様の「インスタントハウスの開発秘話と被災地支援活動報告」でした

これが災害時の仮設住宅などに使っている、インスタントハウスです。

大学の構内に実証実験的に建てられた?ものです。

大きな災害時には、多くの職人さんが必要になります。

そんな場面にこのインスタントハウスが役立っているとのことでした。

驚くのは一見テントハウスみたいに見えますが、高断熱なハウスでした。

 

パネルディスカッションがあり、テーマは「早期生活再建に向けた被災木造住宅の復旧」でした。

6人のパネラーは、防災専門家の方や建築家、工務店、ボランティア組織の方、役場の方そして被災者方でした。

能登の復旧に関する様々な課題やその解決方法や取り組みなどが発表されました。

共通して聞かれたのは、職人さん不足により復旧がなかなか進まないという声でした。

特に印象に残ったのは、被災者の方が被災した家と向き合いながら過ごした切実な日々のお話でした。

100年以上もの間、大切に住み続けてきた愛着ある住まい。
その未来をどうするべきか、答えを出すまでの苦悩が語られました。

まず、的確な判断をするための相談相手が見つからず、戸惑いや焦りを感じたそうです。
紹介された相談先に1件ずつ電話をかけても断られ、そのたびに心が折れそうになったといいます。

「解体すべきなのか、それとも修理できるのか。」
「費用はどのくらいかかるのか。」
「仮に修理できるとしても、施工してくれる業者はいるのか。」

次々と湧き上がる疑問に答えが見つからないまま、焦燥感だけが募る日々。

大規模な災害が発生すると、さまざまな問題が一斉に起こります。
しかし、被災者一人ひとりの状況は異なり、抱える悩みもさまざまです。

だからこそ、より多くの相談員そして職人さんたちが必要とされる。

そう伝わってきました。

 

普段からの備えは、自宅だけでなく、地域全体で取り組むことが重要だと感じました。
災害後の迅速な復旧のためには、地域が一丸となって支え合う「復旧チーム」の構築が欠かせないなと。

スクリーンに映った、被災された家の組子がデザインされた障子。

元の家に収まってくれているのだろうか。