2025年10月27日
山形で多能工を推進している「ゆうき創業さん」を訪問しました。
10月、山形県上山市のゆうき総業(株)さんを訪ねました。
訪問した目的は、多能工の職人集団体制を構築し躍進されている会社と紹介いただき、どのようにされているのかお聞きしたかったからでした。
山形県東部上山(かみのやま)市にある本社にお邪魔しました。
上山は戦国時代、最上氏の城塞があり伊達氏、上杉氏の攻防の舞台となったところです。山形新幹線の駅に降りると、上山城(別名、月岡城)が見えます。
少し早めについたので、上山城と築200年経つ武家屋敷をちょっと回ってみました。
お城は昭和57年に再建されたものです。
武家屋敷は4軒並び、うち2軒は子孫の方が住まわれているそうです。4軒とも茅葺屋根でした。1軒は公開中とのことでしたが残念ながら時間がなく諦めました。
駅からタクシーで10分ほどでゆうき創業さんに到着。
アポ時間は16時、西の空に太陽が沈みかけています。
会社向かいの防火水槽に映る柿の木がきれいでスマホにオン。
かみのやまの紅干し柿は有名だそうです。
雪の山形と言っても雪は積もっても30㎝位のようで、中心部を外れるとのどかな風景がひろがります。
事務所はショールームを兼ねていて、スタイリッシュなフロントが迎えてくれました。少し緊張しながら中へと。
ここから少し、結城社長とお話したことを書いてみます。
先ずは、ゆうき創業(株)結城伸太郎社長の「創業原点と、未来への想い」をHPからご覧いただけたらと思います。
※下の画像をクリックください。
HPからコピーし、そこに書かれていることを元にお話を伺いました。
実は、お話を伺えば、ここに書かれている通りで付け加えることはあまりないのです。
それでも、感じたこと伺ったことを書いてみます。
とにかく大事にされているのは現場の技術と施工品質です。結城社長は社長業とあわせ現場第一、社員さんと一緒に職人として工事現場で仕事され、そこで社員育成も同時に行っています。
どうして若い人たちが集まってくるのですか?の問いかけに
「社風だと思います」と返ってきました。「仕事には厳しく当たります。でもそこには仕事(人生)の楽しさも伝えます。技術を大切に働く楽しさを作る会社。人生は楽しいものだと感じて働く会社。これが社風です」
「社員の多くは1級技能士の資格保持者です。最初はほとんど素人です。元ラーメン屋さんに努めていた若者もいます。技術や人としてのあり方などの研修、学びの場を提供し、資格取得を支援します。その延長に仕事への誇りとやりがいそして楽しさが生まれてきます」
☝ショールームの壁面いっぱいにかけられた社員さんの資格証。これは一部だと思います。
「社員みんなが多能工として塗装、防水、左官、シーリング、タイル、など様々な職種をこなせる現場プロ職人集団なのです。この多能工体制を確立し、仕事の精度と効率を向上させています。それが信用信頼につながっています」
「独立したい人には独立を支援します。そして社外協力事業主として、ともに歩みます」「若者は自然と集まってきました」
HP内の下のページが若者を引き寄せているのかもしれません。
ゆうき総業の強み|自社職人にて【多能工】体制を実現|山形の塗装・防水工事 ゆうき総業
20.40.70・・・
この数字の話になりました。
「高齢になっても、経験豊富な職人さんから学ぶことはたくさんあります。ただそれをいかに若い人に伝え、活かしてもらうか。ここをどううまく行うかがポイントかと思います。特に今の若い人に”俺の背中を見て覚えろ”は通じない。そこで、中間世代の40代の人が上と下のつなぎ役になって、世代間ギャップを埋めることが有効で、その人材が重要だと思います。40代はちょうどいいゾーンと言えます」
これは結城社長が体験し実践してきたことで、言葉には説得力がありました。
「若い人たちは甘やかしてほしいとは思っていないのです。仕事を覚えることやスキルアップへの厳しさ、苦しさもわかっています。ここを理解し応えていくことが大事です。でも、今の社会は若者に接する方法を見いだせていない会社や先輩が多いのではと思います」
「成長したい気持ちを持ち努力する若者は伸びるし、仕事が楽しくなります」
新しい3K「向上・拡散・継承」を唱え、多能工を推進していることについて。
「最初から多能工育成を目指したわけではないのです。雪国は冬の作業が限定される場合が多く、単独職種では仕事に季節ムラを生じます。それを克服するためには、いろんな仕事ができることが必要と考えました。気象、季節に左右されにくい職場を作りたいと考えたのです」
「今職人が不足する中で、多能工の価値が高まってきています。さらに推進したいと仲間と(一社)多能工協会を立ち上げました。現在、100を超える会員数となっていて、情報交換、スキルUP勉強会を開催してます」
下請けという言葉について
「仕事の受発注の関係はなくならないし、そこにいい関係づくりがあることが大事です。お互いに尊敬し、助け合う間には文字は関係ないのです」「外国人の助けも必要です。日本人に負けない技能を身に着けた人もいます。コーキングの技能大会で優勝した職人さんは外国人だったんですよ」
お客様の要望にそれぞれ異なる対応をした3人の大工さんの話を投げかけました。
「独立した職人さんは、職人気質を振りかざすのではなくビジネスとしてのマネージメントが大事です。それと、これからもっと求められていくことは、職人を束ねることができる経営者の存在です。これは絶対に必要です」
職人さんたちの立ち位置に変化が出てきていると感じているこの頃です。この指摘には強く共感しました。
多様な職人像が描かれる中で技術、経験だけでなく安定、休暇、社会保障、情報収集、学び、資格取得などなど、これからの職人さんの環境改善は待ったなしです。でなくては若者に選択されません。
今後は独立して自分の道を究める職人さんと共に、会社に勤める職人さんも増やしていかなくてはなりません。その中には外国人も含まれます。そこには優れた経営者が上に立ち、社員職人さんの楽しさと夢を実現してほしいのです。
そのヒントがゆうき総業さんにはあるのです。
あっという間に時間が過ぎました。最後に絵ことばの活動をご紹介し絵本絵ことば「塗装やさん編、左官屋さん編、板金屋さん編」の3冊をお渡ししました。
「このように職人を応援してくれてありがたいです」
の言葉をいただき、宿泊地の福島に向かいました。