2023年10月26日
原田左官工業さんへ行ってきました。
場所は東京都文京区、山手線の内側の大きな道路に面したところに
原田左官工業さんの拠点がありました。
戦後まもなくこの地で創業し、約75年の歴史を刻む
そこは左官のショールームであり倉庫であり研修の場であり
約60名の職人さんたちのローカー室でもある場所は
まさに拠点です。
事前に見たHPやリアルに見るショールーム。
お話を伺うにつれ原田左官さんは左官業界ではユニークな存在に感じました。
お話はこのツルっとし神秘的な左官仕事のテーブルに向かい合って進みました。
現在社長の原田宗亮さんは日本左官組合連合会の本部長をされています。
自社の仕事をこなす傍ら連合会の役で全国を飛び回っているとのことです。
今回、原田左官工業さんを訪問することになったのは
絵本の注文をいただいたことからです。
職人さんの汗と夢の活動にとても興味と共感を持っていただき
是非、お話をということになったのです。
うれしいことに絵本を全国の左官屋さんにご紹介して下さるとのです。
3階に上がるとこのトレーニングウォール(私が勝手に名付けた)が
あります。ここで左官の修行をします。
これが以前NHKの番組で見た壁なのか。
ここは職人さんたちが自分の作業を動画に撮り
それをタブレットで確認しながら鏝さばきなどを習得する場所です。
何度も塗った素材を落としてまた塗ります。
最初は厚く塗る作業から覚えていくそうです。
厚く塗る方が薄く塗ることより大変だからです。
絵本では左官の官についてふれています。
『知っていますか?右官もあるんですよ』と私を案内してくれた若い左官職人さん。
『それは?』
平安時代?(これは曖昧)右官と左官がいて右官は大工さんのことで
いつしか右官から大工さんに呼び名が変わっていったとのこと。
一方、左官はそのまま残ったというのです。
ちなみに原田左官工業さんの拠点は3階建てです。
各階にはところせましと左官材料と共に左官仕上げの
見本がたくさん置いてあります。
「懐かし~」思わず声を出してしまいました。
そこは人工大理石研ぎ出し(人研)テラゾーのサンプルが積み重ねてある場所です。
「このサンプルも僕たちが作るんです」
塗りつけ磨きそしてきれいに四角に加工されたサンプルです。
「今、テラゾー人気なんですよ。」と若い左官職人さん。
「かつては土間や流しなどの仕上げに多く使われていたんだよね」
「磨くと大量の沼水が出て苦労ありますね」と私。
お互いにうんうんとうなづきました。
外階段を降りると
これ、つるつるで石みたい。
「普通のブロックを磨くとこうなります」
「えっ」びっくりしました。
「これは、工務店さんがくるとみんさん驚きますね」
「ひたすら磨きます」
「時々、ぼくらは何の職人?と思うときがありますよ」と笑って話す若い職人さん。
原田左官工業さんは左官の可能性を追求し開発し、
それにデザインを加え、様々な空間を提案と創造しています。
そのテクニックを求めて建築家や店舗のオーナーさんが訪ねてきます。
「もちろん一般住宅もやります」
「近年は左官の仕事は見えない下地になることが多かったですね」
「でも、こうしていろんな空間を左官仕事で表現できるんです」
左官仕事への固定観念が覆されました。
遠くからも左官になりたい、修行したいと集まってくるとのこと。
現在60人の左官職人さんが働いているそうですが、その内約10人が女性だそうです。
女性の感性やきめ細さが左官仕事に活かされているんですね。
10月半ばですが半袖でなければ暑かった東京。
それ以上に気持ちが熱くなった訪問でした。
手づくりミニカマド、人気だそうです。