2025年12月29日お知らせ
2026年は建具やさん編の発刊からスタートいたします。
日本の伝統的な住まいでは、風を通しやすくする工夫や、空間を多様に使う発想から、
取り外しができる建具が間仕切りの役目を担っていました。

そのため一つの家の中に建具の数は多くなり、
必然的に建具づくりを担う職人さんも、地域に数多く必要とされていたのです。
地元の職人さんたちは、地域の素材、主に木材を使って手作りしていました。

ところが戦後、日本の住まいは次第に個室化が進み、
間仕切りは建具ではなく、しっかりとした壁でつくられるようになりました。
部屋の出入り口は一か所のみとする間取りが一般的になり、
和室が減り、個室が増えるにつれて、建具の数は一気に減っていきました。
そして、個室の出入り口には開き戸が主流となっていきます。
高度経済成長期を迎えると、住宅需要に応えるため、家づくり全体の工業化が進みました。
木製建具も例外ではなく、工場で生産される時代へと移行していきます。
ただ、建具は工場で完成しても、現場で取り付ける人が必要です。
そこで、高度な技術をもつ建具職人さんが、
「建具を吊り込むだけ」の仕事に駆り出されるようになりました。
仕事が減少する中で、
建具職人さんたちは、やむを得ずその役割を引き受けていたのかもしれません。
その後、建具の工業化はさらに進み、
今では建具と枠がセットになって供給され、
大工さんがそれを取り付けるのが一般的になりました。
そこに、かつて当たり前に近所の職人さんの「建具やさん」の姿は、ほとんど見られなくなっています。
しかし最近になって、
日本の建具職人さんの技術、素材としての木の魅力、
そして現代の空間デザインとの融合が、改めて評価され始めています。

建具職人さん自身も、
自らデザインした建具をつくり、
設計者や住まい手と対話しながら仕上げていく
そんな仕事へと舵を切り始めているように感じます。

とはいえ、この30年で建具職人さんの数は急激に減少しました。
新たなニーズに、これから十分に応えていけるのか。
その点には、少なからず不安も残ります。
今後は、職人不足という課題を抱える中で、
工業化と手仕事を対立させるのではなく、
両立させていく視点が求められていくのでしょう。
それぞれの立場が、それぞれの価値を生み出していくこと。
そこに、これからの建具づくりの可能性があるように思います。
今回、建具職人さんを応援したいという思いから制作している絵本
『絵ことば』は、
建具やさんのご家族が、おじいちゃんの仕事に出会うことをきっかけにした物語としました
建具職人さんからどのような評価をいただけるのか、正直なところ少し心配もありますが、
完成は2月末を予定しています。
2026年もよろしくお願いたします。