2026年01月01日
それは、「大工さんのドラマ」と聞いたからでした。
『わたしは、ダニエル・ブレイク』この映画は、2016年に
第69回カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞したケンローチ監督の映画です。
イギリスとフランスなどとの合作です。
なぜ、この映画をDVDで購入してまで観ようと思ったのか。
それは、「大工さんのドラマ」と聞いたからでした。
正直なところ、題名からはどのような物語なのか、想像がつきませんでした。
舞台はイギリス。
主人公は、ベテラン大工のダニエル・ブレイク(60歳手前)です。
まじめで腕のいい大工ですが、心臓の病を患い、医師から仕事を止められてしまいます。
生活のために国の援助を受けようとするものの、複雑な制度やデジタル化された申請手続きに翻弄され、思うように進みません。
窓口の役所の対応も事務的で、思いやりに欠けるものでした。
厳しい現実にさらされながらも、ダニエルは職人としての誇り、そして誠実に生きる一人の市民としての尊厳を守り抜こうとします。
物語の中で、知り合ったシングルマザーの家族を支える場面があります。
古い借家を修理するシーンでは、ダニエルの大工としての仕事が生かされ、静かですが胸を打たれました。
生活のために家財道具を売り払わなければならなくなったダニエルが、
大工道具だけは最後まで手放さなかったシーンは、私にとってとても印象的でした。
この映画は、社会の矛盾を問いかける作品であり、特定の職業を描いたものではありません。
それでも私は、映像の中の「大工・ダニエル・ブレイク」の言動一つひとつに共感し、映画が終わるまで、ずっと彼に寄り添っていたように感じました。
特別な技術や知識、経営力や発信力、組織力。
それらは、これからの職人さんが目指す姿かもしれません。
一方で、社会を広く支える、身近な職人さんたちが、いきいきと仕事をしている姿が、これからもあふれていてほしい、そんなことを考えさせられました。
現在、ネット配信やレンタルがあるかは分かりませんが(私はDVDを購入しました)、
機会があれば、ぜひ多くの方に観ていただきたい映画です。
10年前の映画なので、映像の中のスマホやpcは古いし、制度の改善も進んでいるのかもしれません。
でも、ダニエル。
AIという新たな社会変化への火種がみるみる広がっています。